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 カントリーストイルは必ずと言って周りの風景や地域特性を自然に反映したシンプルで実用的なものである。家の大きさや素材、色、そして建築技法は地域で様々である。しかし藁葺屋根のちっぽけな家、ベランダが付いたウェザーボードの別荘、またはたいへん大きな石造りの田舎の家のどれであれ、その手法には共通点がある。それは素材を素直に使い、実用性を無視せず、周りに調和した安心感があることである。例えばCarrarra採石場傍の中央イタリアの大理石の表面仕上げ、ウェールズ地方の粘板岩の瓦、そして装飾ではルイジアナ地方の鉄を組み合せて作られた作品、東イングランド地方の漆喰細工、そしてフランスやドイツの農家の装飾的な艀板などがある。
 典型的なイギリスの田舎の家は産業革命の工業的な気風への反発から19世紀中頃に形成した芸術工芸運動の建築家にインスピレーションを与えた。その目的は絶滅した古来の技術と工芸を伝承することであった。1860年にWillam MorrisのためにPhillip Webbによりロンドンの近くに建てられたRed Houseは母国の田舎に伝統的な建築物への讃美歌である。Webbやその他の芸術工芸建築家は明らかに地方の材料や建築技術では田舎の大工の概略のルールは守ったが、拡張していった。例えばRhode島のHenry Hobson Richardson作のWatt Sherman Houseではブロックと石を調子を合わせて切妻屋根にし、カリフォルニアのGreene and Gerrn's Gamble Houseは屋根板を装った家にした。Frank Lloyd Wrightはカリフォルニアの一連の家を建てるにあたり地域の砂から作られたブロックを使用するなど地方の材料と技術のアイデアを最大限に採用した。
 芸術工芸建築家の手により、質素な田舎の家が建築物になった。19世紀末に彼らが建てた作品の多くは西洋に広く模倣され、今世紀のカントリーハウスの典型を与えた。


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