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台所を改造したり新築する時は、「ワーク・トライアングル」に基づく効率的なキッチンにするチャンスである。ワーク・トライアングルとは三つの主要な活動域である貯蔵場所・流し・コンロを結んだ三角である。理想的にはワーク・トライアングルは運搬により邪魔されてはならない。特に流しとコンロの間はそうである。なぜなら熱いポットや料理がその間を運ばれる必要があるからである。最も自然で効率的な調理作業は左から右への流れであり、シンクは真ん中でコンロは右に配置される。左利きの人はその逆である。そして調理スペースの形に関わらずシンク・コンロ間のカウンターは食物を準備する主要な場所であるので十分な長さが必要である。
全ての調理スペースは明るくなければならない。本人や他人の影が入らないよう調整できれば理想的である。ガラスシェードの照明を組み合わせることは伝統的な選択であり、いまだに一般的な照明として有効である。
カントリー風だからといって電化前の時代を奴隷的に再現する必要はない。ハイテクなキッチンの時間・場所を節約できる設備は、カントリー風を近代的に再解釈することで加えられるが、それらはよりソフトで人間的な環境に設置されることになる。レストラン仕様のステンレス製ストーブ、ビルトイン方式のオーブンやコンロ、電子レンジやグリルは伝統的な鋳鉄ストーブと並んでかその替わりに設置される。それらは白漆喰と陶製タイルの壁、合理的な白い食器棚、木のビーチトップや家具でフィンランドの建築家Alvar Aaltoがデザインしたようなナチュラルな風合いの現代風カントリーキッチンになる。また縞模様のタイル床、銅のヤカン、かわいい磁器や脱色した松の家具があれば容易に古い農家のキッチンにも完全になる。
暖炉では近代的な器具が古風な木・石炭ストーブに代わる。または湯沸しが組込まれたハイカラな複製ストーブが設置される。もし調理用暖炉が台所にあるならグリル用鉄板を作って焼くことは可能である。
冷凍冷蔵庫は調理台下タイプが便利であるが容量が小さくなる。独立タイプはポツンと置かれるか、食器棚にビルトインされるか、鼻隠し板を付けられる。しかし特に大型の場合は食品庫や食器棚の中に入れたほうが良い。近代的なシンクはどんなタイプでもカウンターに組み込み可能である。または古い長方形のシンクも今日の物より深く容量があり大きなポットや鍋や洗濯物を洗うのに都合が良いので用いてみても良い。