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スペクトルの色は暖色系の赤、橙、黄色と寒色系の青、緑、紫に分けることが出来る。それらの原色系の色は暑い気候でのみ用いられる。その他の地域では室内はピンク、薄い緑、淡い黄色、水色や黄土色の繊細で静かな陰影である。しかしここでさえ生き生きして強い色が大事な場所に用いられる。例えば、明るい赤や真っ青な色がキルトやエメラルドグリーンの腰羽目板に用いられたりする。
しかし石の梁や淡い黄色の壁は単一色には決してならず一様ではない。なぜなら素材や光の当たり方が色の濃さに影響するからだ。田舎の室内の魅力は自然の素材が持つ固有の美しさと反対の素材感を持つ物の組み合わせ手法である。塗装されたブロック壁に映える艶消しに塗られた窓枠、素朴に織った椅子カバーの隣りのチェック柄のタイル床、装飾的に漆喰を塗られたカーテンボックスで囲まれたプレスされた錫の天井など。
別の次元は柄の付加である。ビクトリア王朝期の人々はパターンの上にパターンを重ね方を直感的に理解していた。デザインの大きさのミックス、幾何学模様を民族のモチーフに組み合わせ、壁や床を一色か二色に色調を統一した素晴らしく縁取りした枠などである。壁紙のデザインは腰板もしくはピクチャーレールの高さで変化され、別の柄が天井に用いられる。豪華に装飾されたラグが、柄が付いた床か白黒タイルの床に置かれる。
同様の生まれつきの確信が田舎の室内にも見受けられる。部屋はデザイナーが創ったというよりちょっと偶然の要因で出会ったように見られる。壁はお気に入りの青で塗られ、先祖代々の深紅と青の東洋ラグが床に無造作に敷かれ、物置から持ってきたような曲木椅子が古物屋でみかれるマホガニーのテーブルの脇に置かれ、プレーンな更紗のソファーカバーをパッチワークのキルトがカムフラージュしている。藍染めのカーテンは混乱を来すかもしれないが、床のラグやキルトが同一系の色なので部屋は調和している。