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カントリー風の家の玄関は暖かさと密閉感が屋外と屋内の中間にある。ここでは床は実用性と同様に見た目が重視される。厚板や寄せ木、擦り減った板石、風化した風合いの切り出し煉瓦、赤味を帯びたブロックや白黒タイル、そしてしばしばある種のラグやマットが素材感の違いを加えるために用いられる。壁は塗装や壁紙やライニングされ、他の通路に比べ贅沢に扱われる。玄関はtrompe-l'oeilの石組みで輪郭を描かれ、ろう画のタイルで腰羽目され、奇麗な木のパネルでライニングされる。伝統的にオーバーを掛け傘を置く何処かと、通常手紙と新聞用のテーブルがある。テーブルは深紅のポットポプリが一杯の青白ボウルやピンクのバラが入った丸いガラスの花瓶が飾られる。
理想的な玄関は田舎の大邸宅に見られるように廊下がプライベートな場所まで導いてくれ、階段が上の階に伸びている大きく余裕のある空間である。中世風の木のパネルと石の床で作られたホールでは、家具の主役は背もたれが板で足が手摺り風の3から4人掛けの長椅子と長いオークのテーブルかアンティークなサイドボードである。イタリア人は淡くピンクがかった黄土色の壁に頑丈だが上品なガーデンベンチを置く。アメリカンスタイルでは白い壁、チェック柄の床、アンティークテーブル、チェストやキャビネット、そして田園の絵が見られる。
多くの田舎の家では第2のドアが寒さを締め出し、玄関とその他の場所を区別する。通常はガラスがはめられ、しばしばステンドグラスやカラーグラスが用いられ、ドアにはインテリアな窓枠が組み込まれる。これは玄関から細い廊下が続いている場合に有効である。装飾的なアーチを用いることは細長いホールを打ち切るのに良い手法であり、厚いカーテンを吊るせばそれが伝統的に家の前の方に位置するパブリックルームと奥の方の寝室や台所との仕切りになる。
費用的に許されるなら、笠やブーツも玄関に置きたい。スペースがあれば、それらは前が弓なりになった大きな飾り棚、特に奇麗な鎧兜入れ、アンティークに塗られたコーナーキャビネット等の奇麗な家具に収納出来れば良い。Shaker風のビルトインタイプの収納庫や飾り棚や箪笥は素材感が上品か塗装された木で作られる。これらの家具はスペースがミニマムな玄関では良い解決法になる。小さなスペースでは飾り棚を壁と同じ色で塗ることは空間を統一する効果があり、白や薄い影は空間を広く見せるだろう。
多くのアパートは玄関だけで廊下や階段がない。この場合地方特産の切り出しタイルや煉瓦をニシンの骨の柄に並べたり、床にオークの板を釘打ちすれば速やかにカントリー風になり、壁やドアはシンプルで混乱しない仕上げの方が良い。
フロントドアの内側はある程度迄のセキュリティーが要求される。多くの都市部のアパート住人に好まれる頑丈な鉄のドアは、より素朴な内部のドアや装飾したパネルにより偽装は可能である。しかしクラッシックな板張り、ガラス入り、または羽目板のドアでそれを代用することはトータルでは成功しない。