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フランス印象派で婦人の入浴風景の上品な絵を描いたPaul Bonnardに見られるカントリーバスルームには、いつも足がカギ爪形で上端がカーブしバスタブ、塗装された木製の実はぎ壁と床、そして模様の付いたリノリウムが描かれている。実はぎ板はカントリーバスルームの風景に欠かせない特徴であり、特に北アメリカ、ニュージーランドやオーストラリアの下見板の小住宅では床から天井まで用いられたり、腰羽目板として用いられた場合は上壁は無処理の漆喰や壁紙にされる。
漆喰はバスルームのためには素晴らしい表面である。それは塗立ての色を楽しむなら白、クリーム色やパステルカラー、色褪せた風合を楽しむならもっと強い色で塗られる。そして多分小さな手描きのパネルやステンシルの帯で飾られる。絵の場合は卵殻や絹仕上げ、木製品は艶出しを用いる必要があるが、壁に結露を生じる懸念が残る。
床から天井まで用いられるクリームや白色のタイルはイタリア人が好んでバスルームに用いる仕上げであり、しばしば風呂の替りにシャワールームとし床にタイルで溝を付けて排水を図る。フランスの農家でも壁や床はしばしばタイル仕上げであるが、腰羽目仕上げでたいへん装飾的に仕上られる。部屋は緑のダイヤモンド型の小さな物をあしらった白タイル、一面緑の腰羽目部で仕上られ、ピンクに塗られた藤家具が置かれ、植物が豊富に飾られる。
今日よく用いられるリノリウムやビニールシートの床は大部分が伝統的なタイル模様が印刷されている。疲れるような塗装の壁と用いられるシンプルな白黒デザインのものは、古代ローマの田舎に直接由来する。カントリースタイルで花柄模様を用いる場合と幾何学的に同様にすれば、同じ部屋が青緑色や深紅の腰羽目部、腰帯は白黒のチェックに塗られ、壁と腰羽目部は淡いピンクやベージュにすればもっとイギリス的である。
バスルームの窓は通常すりガラスが用いられるのでカーテンは不要である。入口はステンシルや手描きのボーダーで縁取られる。それは単色で葉、花、鳥や幾何学模様が描かれたり、複数や多数の物を複雑に描く場合は対照的な2色が用いられる。そしてドアも同じパターンで枠取りされる。バスルームドアの上の木のパネルは無地や模様付やエッチング処理されたすりガラスやステンドグラスにも出来る。色付ガラスを通して太陽の光が射し込む風景は強くカントリーを感じさせる。
エナメルで被覆されかぎ爪足が付いた鋳鉄やプレス鉄製のバスタブは伝統的であり、木やハードボードで作られた箱型の物もそうである。一方一体成型のプラスチックやアクリルのパネルはお勧めできない。着色された物もそうである。シャワー室はガラスブロックかその同等品がプラスチックのユニット品よりは見た目が良い。洗面台は柱付き、壁付き、ビルトインや大理石天板のもの等ある。そして蛇口は近代的な頑丈そうな物より広く出回っていて伝統的なタイプの方がシンプルで機能的である。
基本的な所が仕上れば、カントリーバスルームを貴方らしく仕上るのは小物である。藤の椅子、簀の子やseagrassのバスマット、ローファー、rose waterの入った青いガラス瓶、可愛い石鹸の入ったバスケット、着色されたフレームの鏡、自立式のタオルスタンドや奇麗な陶器の石鹸皿等がある。